設立趣旨

設立趣旨

現代社会の進化により、全国民の睡眠動態が悪化しています。全世界的な統計においても本邦は子供、大人、高齢者の全ての年代において、平均睡眠時間が最も短いグループに属するという報告が複数あり、睡眠障害への対処は本邦における喫緊の課題の一つです。また、睡眠障害は学童期や社会活動においては居眠りや遅刻等による評定の低下や不登校、自己肯定感の低下、抑うつ状態、ひきこもりなどの大きな原因の1つとなっています。

このように睡眠障害への対応を放置することは社会的に大きな損失となります。米国においては1990年代に米国睡眠障害調査研究委員会から米国議会へ報告された「Wake up America」により社会活動における休息、睡眠の重要性と睡眠障害について警鐘が鳴らされ、睡眠の重要性について学校教育や会社など社会全体に啓蒙する体制を整えられてきましたが、本邦においては睡眠についての正しい知識を国民に伝えるための仕組みが十分に整備されていません。

そのため、私たちはまず将来を担う子どもたちへの睡眠教育を行う目的で2018年に睡眠衛生について学び、特に子どもたちに正しい睡眠改善を促すことを目的とする「睡眠育成士」を養成し、学校などの教育施設より睡眠教育の要請があった際には積極的に応じていく社会活動を立ち上げました。対象は18歳以上の希望者とし、年間4~5回の講座(全6単位)のうち4単位以上取得し認定試験に合格したものを「睡眠育成士」として認定した。2018年度、2019年度と順調に活動し、小学校への育成士派遣事業がNHKにも取り上げられる活動となっていましたが、2020年度からは新型コロナウイルス感染症の影響を受け、主催の1つであり活動の場であった名古屋市立大学病院がコロナ治療の拠点となり感染対策とコロナ対応へリソースを振り向ける必要があったなどから、対外活動であった本講座の開講が難しくなり、活動休止に追い込まれておりました。

活動休止の期間中に活動方針や存続についての再検討を行い、今後も本邦において子ども、大人、社会全体における睡眠の改善を目指すため、睡眠教育の充実に不可欠な本活動をコロナ禍のようなイレギュラーな事態にも負けずに継続できる体制の構築することとなりました。

そのため、任意団体から特定非営利活動法人へと昇華することで活動の信頼性の向上、問い合わせなど対応の運営組織を強化し、それに伴う予算獲得や経費の透明化が可能となり、より地域、全国への貢献を可能とするための基盤を整備していきます。

これにより、一地方都市での講座開講のみであった従来の活動から、講座や試験のオンライン化や市民公開講座の開催、睡眠知識のインターネットによる広報活動を進めて感染対策のみならず活動の場を全国的に拡げていくことで、全国民に対し睡眠の知識を啓蒙していく活動へと拡大させていくことを次の目標に掲げて活動していきたいと思っております。

また、近年は企業活動においても睡眠は重要なキーワードとなっていますが、企業の社員に対する睡眠教育や睡眠に関する研究開発などを行っていくうえで、睡眠医療との連携が取れていない実情があり、こちらも重大な損失となっています。法人化した際にはその連携の円滑化やニーズのすり合わせなど、医療と企業活動の仲立ちも務められるよう活動の幅を拡げていくことで睡眠分野の発展に寄与したいと考えて活動して参ります。